妊活中に自分を責めてしまうとき、その気持ちはおかしくない
妊活がうまくいかないとき、「自分のせいだ」「もっとできたはずなのに」という気持ちが出てくることがあります。この記事を読んでいるあなたも、そういう気持ちの中にいるかもしれません。
まず最初に書いておきたいのは、その感情はおかしくない、ということです。整理より先に、そこだけ受け取ってください。
その自責はどこから来て、なぜこんなに重くなるのか
自分を責める気持ちが続くとき、「自分が弱いから」「気持ちの持ちようが悪いから」と感じやすくなります。ただ、その感情には、妊活という状況特有の構造が関係していることが多いです。
毎月、リセットされる
妊活を続けている中で、生理が来るたびに気持ちが沈む、という経験をする人は少なくありません。一度や二度ではなく、何度も、毎月くり返す。そのたびに「また今月もだめだった」という感覚が積み重なっていきます。
頑張っても変わらない状況が続くと、人は原因を自分に向けやすくなります。「自分の何かが足りないのでは」「何か間違えているのでは」という考えが出やすくなるのは、無意識のうちに「説明できる理由を探している」からかもしれません。外に原因がわからないとき、自分を原因として指差してしまいやすい、という傾向があります。
周囲の妊娠報告がこたえる
知り合いのSNSで妊娠報告を見たとき、職場で同僚の報告があったとき、「おめでとう」と言えた自分と、心のどこかで「なぜ自分ではないのか」と感じてしまった自分が同時にいる、そういう瞬間があります。
その感情を持ってしまったことで、「こんな気持ちを持つ自分はひどい人間だ」という二重の自責になることもあります。他の人の幸せを素直に喜べない自分を嫌いになる、という方向です。
でも、その感情は、あなたがひどい人間だということを示してはいません。それほど切実な状況に長くいる、ということを示しています。
パートナーにうまく話せない、一人で抱えてしまう
気持ちがしんどいとき、パートナーに話したくても、「心配させたくない」「また落ち込んでいると思われたくない」「こんなに引きずっているのは自分だけな気がして言いにくい」という理由で、言葉にできないことがあります。
話せていないことで、「自分だけが苦しんでいる」という孤立感がさらに重くなりやすいです。また、「話せない自分も弱い」という自責が加わることもあります。
「正しく頑張らなければ」というプレッシャー
食事、睡眠、運動、ストレス管理、サプリメント——妊活に関する情報は多く、「やるといいかもしれないこと」が次々と目に入ります。それが増えるほど、「できていないこと」も増えて見えます。全部を満たそうとすると、どれもできていないように感じやすくなります。
頑張ることで状況を変えようとしているのに、頑張れない自分が出てくると、「やっぱり自分が弱いから」という結論に向かいやすくなります。
その感情はおかしくない
ここまで読んで、「自分のことだ」と感じた方がいるかもしれません。
毎月の落ち込み、周囲への複雑な気持ち、一人で抱えてしまう孤立感、頑張れない自分への嫌悪——これらはすべて、妊活という不確かさの大きい状況の中で、長くいることで出やすくなる感情です。気持ちの弱さや、人間性の問題ではありません。
「こんなに落ち込む自分はおかしい」と感じているとしたら、まずそこに、一度待ってほしいと思います。おかしくはないと思います。その状況で、その感情が出てくることは、珍しいことではないです。
承認というのは、「だから何もしなくていい」ということではありません。ただ、「おかしい」と追い打ちをかけることをいったんやめる、ということです。自責を重ねる前に、「今自分はしんどい状況にいる」という事実をそのまま受け取る、それだけでも気持ちの消耗が変わることがあります。
自責になりやすい言葉のパターンと、言い換えの視点
整理よりも承認が先、と書きました。それでも、自責の言葉が繰り返し出てきてしんどい、という方のために、言い換えの視点もまとめておきます。これらは「正しい考え方」ではなく、あくまで一例です。
「もっと早く始めていれば」
今からでは遅い、という前提を含んでいます。ただ、何がいつ影響するかは、外からは判断しにくいことが多いです。
言い換えの視点:「始められた時期に始めた。今できることから考える。」
「私のせいで結果が出ない」
妊活の結果は、一人の行動だけで決まるものではありません。体の状態、タイミング、パートナーの状態など、複数の要素がからんでいます。
言い換えの視点:「わかっていないことが多い状況の中で、できることをやっている。」
「もっと頑張れるはずなのに頑張れていない」
頑張れない状態には、疲れ、睡眠不足、仕事との両立、気持ちの揺れなど、さまざまな背景があることが多いです。
言い換えの視点:「今は余力が少ない状態かもしれない。何を少し減らせるかを考えてみる。」
「こんなに落ち込む自分はおかしい」
気持ちの揺れは、妊活のような不確かさの大きい状況では起こりやすいことです。落ち込む自分をさらに責めると、二重に消耗しやすくなります。
言い換えの視点:「この状況で気持ちが揺れるのは、珍しいことではない。」
自責が続くときに意識したいこと
「考えていること」と「事実」を分ける
「私のせいだ」「もっとできたはず」という思考は、解釈や推測が含まれています。それが事実かどうかは、多くの場合わかりません。
「今自分はこう考えている」と少し距離を置いて見ると、思考の勢いが落ち着きやすいことがあります。「これは今の自分の解釈だ」と気づくだけでも、気持ちへの影響が変わることがあります。
責める言葉が出てきたときのための小さな確認
- この考えは、事実を確認した上でのものか、それとも推測か。
- もし友人が同じ状況にいたとき、同じことを言うか。
- 今の自分に必要なのは、責めることか、それとも何かを一つ減らすことか。
これらは答えを出すためのものではなく、思考を少し止めるための問いかけとして使えます。
「正解を見つけること」と「今をしのぐこと」は別
自分を責める思考の裏には、「正解を見つければ結果が変わる」という期待があることがあります。ただ、妊活に確実な正解があるわけではありません。
今は整理できていなくてもいい、答えが出なくてもいい、という状態を許可することが、気持ちを消耗させにくくすることにつながる場合があります。
つらさが続くときは、一人で抱えこまないために
自分を責める気持ちが長く続いているとき、日常生活に支障が出てきているとき、眠れない・食欲がない状態が続いているときは、専門家に相談することも選択肢の一つです。
- 心療内科・精神科:気持ちのつらさが長引いている場合、診察・相談ができます。受診のハードルが高く感じる場合は、まず「相談できるか確認する」目的で連絡するだけでも大丈夫です。
- カウンセラー・心理士:医療機関のほか、民間のカウンセリングルームや、オンラインカウンセリングを提供している場所もあります。
- 自治体の相談窓口:各自治体では、女性の健康や不妊に関する相談窓口を設けていることがあります。費用がかからない場合もあるため、お住まいの自治体のウェブサイトで確認できます。
- 不妊専門クリニックのカウンセラー:通院中のクリニックにカウンセラーが在籍している場合があります。通院のついでに相談できる環境がある場合は、担当スタッフに確認してみる方法もあります。
気持ちのつらさは、自分の弱さではありません。状況が重なった結果として出てくるものです。相談することで、少し整理しやすくなることがあります。
まとめ
妊活中に自分を責めてしまうのは、弱さや性格の問題ではなく、不確かさが大きい状況に長くいることで出やすくなる感情です。毎月くり返すしんどさ、周囲の妊娠報告がこたえること、一人で抱えてしまう孤立感、頑張れない自分への嫌悪——それらは、あなたがその状況に真剣に向き合っているからこそ出てくるものです。
整理や言い換えは、承認の後でいい。まず「その感情はおかしくない」という地点から始めてください。
つらさが続くときは、一人で抱えこまずに専門家や相談窓口を頼ることも、選択肢に入れてください。
よくある質問
Q1. 自分を責めないようにしようとするほど、余計に意識してしまいます
責めないようにしようとすることで、かえって気になりやすくなることがあります。「責めないようにする」より、「今自分はこう考えているな」と気づくだけにとどめる方が、消耗しにくいことがあります。思考を変えようとしなくても、気づくだけでも違いが出ることがあります。
Q2. 周囲の妊娠報告を素直に喜べない自分が嫌になります
その感情を持ってしまった自分をさらに責めてしまう、という方は少なくありません。おめでとうと思える部分と、複雑な気持ちが混在することは、切実な状況に長くいるときには起こりやすいことです。「ひどい人間だから」ではなく、「それほど切実な場所にいる」という見方もできます。感情を持ってしまったこと自体を、責める必要はないです。
Q3. パートナーには自責の気持ちを話せていません
話せない理由が「心配させたくない」「引きずっている自分を見せたくない」であることは多いです。話すかどうかは、自分のペースで決めて大丈夫です。全部を話す必要はありません。話せていないことを責めなくてもいいです。ただ、一人で長く抱えていると気持ちが重くなりやすいため、タイミングが来たときに「最近しんどい」と一言だけ伝えることが、共有の入口になることがあります。
Q4. 落ち込みが続いていますが、病院に行くほどではないかもしれないと感じています
「病院に行くほどか」の判断は難しく、自分ではわかりにくいことが多いです。日常生活に支障がある、眠れない、気持ちの落ち込みが続くといった状態があれば、一度相談することを検討してみる価値はあります。まずは確認のために連絡するだけでも問題ありません。受診や相談の必要性については、専門家に判断を委ねることをおすすめします。
本記事は情報提供を目的としたもので、医療上の助言や診断ではありません。体調や治療に関する判断は医療機関にご相談ください。制度・費用・保険の内容は変わることがあるため、最新の情報は公式の案内でご確認ください。